ダブル主人公マンガというジャンルがあるのかも、という話
冬の早朝に散歩することがルーティーン化している。中間地点で小休止してスターバックスのソイラテを飲みつつ積んでいたマンガを少しずつ読んでいる。冬はつとめて。
マンガを買うときは自分の審美眼で選ぶことは全然していなくて、人から勧められたりよく聴いてるポッドキャストで話題になっていたものを無作為に拾い上げて買うことにしている。
そんなセレクションの中で「これは!」ってなった作品を紹介してみる。キーワードは「ダブル主人公」。
まずは『ワンダンス』。
ストリートダンスを題材とした作品で、ダンスを漫画で表現しようという試みに溢れていてひとつひとつの動きの表現がめちゃくちゃかっこいい。線の大胆な使い方やポーズに読んでいておもわず息を呑む。
本作の主人公は高校生の男女、ダンス初心者の「カボ君」とセンス抜群の「湾田さん」の二人。カボ君の心理描写に比重があるけども、刊行中の全7巻まで読んだ感想として本作は「ダブル主人公」作品といって良いと思う。
お互い刺激しあって切磋琢磨する関係性、ストリートダンスという世界での二人の対等な関係性が好ましく映った。お互いの潜在的な恋愛感情はありつつもそちらを主軸とせずに相手に対するリスペクトを軸に据えたストーリー展開も良い。
続いて少し前に読んだ作品で、男女のダブル主人公ものというところで言うと少年マガジンの『ランウェイで笑って』。
こちらもワンダンスのような関係性の対等さと健全なライバル意識を感じた。少年マンガというフォーマットに多様性が生まれていることに気付かされた作品でもある。
そして、『海が走るエンドロール』。
実は本作が今回いちばん紹介したい作品なんだけど、うまく言葉にできるかわからない。
題材は映像制作で、65歳の未亡人女性と20歳の映像専攻男子美大生のダブル主人公。この設定だけでもう胸を掴まれた。
映画づくりの世界に飛び込むうみ子さんと彼女の背中を無意識にぐいぐい押している海くんの関係性がなんとも言えず良い。
読んでいて「何を始めるにも遅いなんてことはないのだ」と背中を押されたような気持ちになるし、「いくつになっても知らないことにワクワクして挑戦する」ことを肯定してくれている。
また、作中でうみ子さんは幾度も周囲からの「無意識のバイアス」に晒されてその度に自己防衛のために自らの本心を偽ってしまう。ここの描写も胸に刺さるし、自分もどちらの側にも立ったことがあるだろうなとはっとさせられた。
他にも、「このマンガがすごい!」と思ったものはいくつもある。でも長くなるし、あとちょっとだけ一言で紹介して終わりにする。
話題の『ショーハショーテン!』もダブル主人公。

野球漫画だいすき。スカウトを主人公にすると野球のさまざまな側面を描けるんだなと新たな発見があった。
ということでオススメ作品お待ちしております。